社長ブログ

【こおろぎ】が届きました

(2006年09月06日)

こおろぎ父性愛

昔、「兄妹」という本を読みました。子どもの頃のことなので、確かな内容は覚えていませんが、次のような話だったと思います。

戦後、両親を失った兄妹がいました。二人は仲の良い兄妹で、兄は幼い妹を養うために懸命に農家の手伝いをして働きましたが、二人の生活はとても貧しいものでした。それでも二人は、助け合って仲良く暮らしていました。

数年後、義務教育を終えた妹は、仕事を求めて一人東京に出て行きます。しかし、いろいろな出来事の末、ついには水商売に身を落とし、身体を壊して故郷へ戻ることになります。

今の日本ならともかく、真っ赤な口紅にくわえタバコの彼女を見る故郷の人達の目は、とても冷ややかなものでした。懐かしい故郷でしたが、そこに彼女を受け入れてくれる人はいませんでした。

皆さんがこの妹の兄なら、どうされるでしょうか?
もしかしたら、村の人の目から妹をかばおうとするかもしれませんし、村人に「元の妹に直させるから、昔のように付き合ってやって欲しい」とお願いするかもしれません。

しかし、この兄は違いました。

あれほど、かわいがっていた妹に対して、誰よりも冷たく、厳しい扱いをしたのです。
最初は、その対応を「当然だ」と見ていた村人も、兄の扱いがあまりにひどいため、徐々に「あれはやり過ぎだ」という声が上がり始めます。それでも兄は妹への対応を一向に変えません。ついには村の人達が妹を守るようになり、兄と口をきく者は一人もいなくなってこの物語は終ります。

私がこの物語を読んだのは40年近くも前のことですが、読み終えたとき「何という優しさがあるものだ!」と驚いたことを今でも覚えています。
果たしてこうした優しさが、今日の日本にあるでしょうか?

例えば、自分の子どもが万引きをしたとしましょう。そのときに子どもの手を引いて警察に行く父親がどれだけいるでしょうか?
私が知る限りでは、「何でそんなことをしたんだ?」と及び腰で声を掛けるか、「あいつはダメだ!」と逆切れして、子どもと向かい合わない父親が多い気がします。

こうした父性の減少は、父親だけのことではありません。管理職の中にも確実に進行していると私は思います。部下に嫌われたり、反発されることを恐れて、指導することや注意すること、向かい合うことから逃げている人が増えていると思うのです。それは「冷たさ」や「弱さ」であって、「優しさ」ではないと思うのです。

もちろん私は、怒鳴ったり、暴力を振るうことを推奨しているわけではありません。ただ、どんな男女同権になっても、父親の私が言う言葉と、妻が言う言葉では、その差は明らかです。それなら本当に言わなければいけないことは私が言い、妻は優しい母親(母性)として子どもとかかわってくれたら良いと私は思うのです。

父性とは、自分にとって損であっても、大切なものを守り抜く基準(愛情)のように私は思うのです。

杉井保之氏 【こおろぎ】より

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