社長ブログ

【こおろぎ】が届きました

(2007年07月03日)

ころおぎお金は道具

以前の私は、お金持ちになることが幸せになる方法だと思っていました。お金持ちになったら、色々な物が買えて、人生が豊かになると思っていたのです。しかし、この頃は、お金の豊かさと人生の豊かさとは、あまり関係がないと思うようになりました。もし、お金の豊かさと人生の豊かさが比例するとしたら、日本人は世界でも最も心豊かな国民になっているはずなのです。

先日、皇居の周りをジョギングしていると、500万円はするだろうと思われる黒塗りの車が、首都高速の料金所を突破して行きました。あれほどの高級車に乗っていて、たった700円が支払えないのでしょうか?

私は「豊かさ」というものは、お金の多さによって決まるものではないと思います。仮に給料が100万円の人でも、110万円の暮らしを求めたら心にゆとりはありませんし、収入が20万円の人であっても、その中で生活し、いくらかでも人の為にお金を使えたら、その人の心は十分に豊かだと思うのです。

戦後の焼け野原から、日本はとても豊かな国になりました。他の国と比べたら信じられないほどの豊かさです。ところがこれほど豊かになったのに、子どもの給食費を払わない親が増え、自分の親の葬儀を火葬だけで済ませる人が、この10年で10倍以上も増えています。これでもこの国が豊かになったと言えるのでしょうか?

葬儀に代表されるように、最近では「何でも安く買いたい」という人が増えたために、企業は良いものを提供することよりも、少しでも安いものを提供するようになりました。そのためには下請けを叩いたり、材料の質や量を落とすようになります。こうした風潮は、人を信じられない国にするばかりでなく、日本から丁寧な仕事をする職人さんがいなくなり、結果として割高なものを買うことにつながると私は思います。

元来、お金というものは、20万円の給料が30万円になったからといって満足するものではなく、今度は40万円ほしくなり、その次には50万円ほしくなる性質のものです。私達には使いきれないほどのお金を手にしながら、それでも満足出来ずに犯罪に手を染めた人達を、私達はたくさん見ているはずです。その人達の心は、いくらお金があったら満たされるのでしょう?

お金というものは、お金によって豊かになろうとすればするほど、お金に対する飢えがひどくなり、心が貧しくなる恐れのあるものだと思うのです。

誤解があるといけませんが、私は「お金が良くない」とか「お金はいらない」と言っているのではありません。私もお金はあったほうがいいと思いますが、所詮、お金は人間が作った「道具」にすぎません。人の豊かさは、道具の多さで決まるのではなく、道具の使い方によって決まってくると思うのです。

最近では結婚もずいぶん変わったようで、結婚相手に幸せを求めて不満を言っている人が増えているようです。しかし、こうした人はいくら愛情をもらったとしても満たされることはないと思います。結婚したらお金も時間も自由に使えなくなるのは当たり前のことです。そうした自分の大切なものを割いてでも、「この人を幸せにしたい」と思えることが愛なのだと思うのです。お金も愛も、与えるときに豊かになるものなのかもしれませんね。

繰り返しますが、お金は人が幸せになるための道具です。その道具にために人が振り回されることは本末転倒なことです。お金に振り回されるのではなく、人を幸せにするためにお金を生かして、豊かな人生を作っていきたいものです。
お金の多さではなく、心の豊かさを求めていきましょう。

杉井保之氏 【こおろぎ】より

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